初学者のトルコ語学習ノート

「しっかり学ぶトルコ語」(ベレ出版)を使った、トルコ語学習のブログです。

第1部・第3課「名詞の格」(p83-88)

所有格(p83-84)・属格(p85-88)
今回出てくる例文は、ほとんど文法上の解説を必要としないと思われるので、品詞分解は省略したいと思います。

※なお、例文の注意点として、p85-9にあるpantalonuは、pantolonuの誤記になっていることを挙げておきます。また、p85-11の"yeni bir sevgilisi"の語順については、p176-7を参照。

以下、所有格と属格についてのメモを記しておきます。

所有格・属格という分類と名称について
「しっかり学ぶトルコ語」では、所有格と属格という二つの格として分類していますが、これは日本のトルコ語参考書としては異例のようで、他の参考書では、前者の”-in”の助詞をもつ格を「属格」、後者の”-(i)m, -(i)n, -(s)i, -(i)miz, -(i)niz, -leri”を「所有接尾辞」などと呼んでいます。参照の際には、どちらを「所有格」または「属格」としているか、注意が必要となります。

※「読本」p23-26、p34-35。「入門」p32-38。「入門」では所有格を「もちぬし格」、1・2人称に当たる属格助詞”-(i)m, -(i)n, -(i)miz, -(i)niz”を「人称語尾」、3人称にあたる属格助詞”-(s)i, -leri”を「限定語尾」としている。「モジュール」では前者を所有格、後者を所属人称接尾辞としている。「文法・会話」p12は「しっかり学ぶ」と同じ。

属格の性質
上でも示唆されているように、属格は、
・人称によって助詞が変化する
・属格助詞の後、(間に連音-n-または-y-と)その他の格助詞が付くことがある
・属格助詞が付いた語自体は、後ろに他の格助詞が付かない場合、主格・対格になる

といった点で、他の格とは別物と考えることができます。

3人称の属格
3人称の場合、属格は「所属」と「限定」の2種類の用法があります(上記「入門」参照)。p85にある例文の訳では、3人称の属格”-(s)i”について、彼または彼女といった(3人称の)人の「所属」を示すために「(彼の・彼女の)」と文頭に補っていますが、文によっては、「その・それらの」のように「限定」として考えた方が分かりやすい場合もあります。

注意すべき属格
3人称複数属格語尾 -leri は、名詞の複数形 -ler に付く場合、-lerleri とはならずに -ler は1つのみとなるため、「名詞の単数形 +leri (3pl.gen.) 」と同形となります。さらにこれは「名詞の複数形 -ler +i (3sg.gen.)」と同形になります(「モジュール」参照)。
例: evleri
ev +ler (複数形接尾辞) +i (3sg.gen.) 彼の家々
ev +leri (3pl.gen.) 彼らの家、彼ら家々

2人称単数属格語尾は、子音で終わる語の場合 -in となるため、後ろに格助詞が付くとき、3人称単数属格と同形になる場合があります(「モジュール」参照)。
例: evinde
ev +in (2sg.gen.) +de (loc.) 君の家で
ev +i (3sg.gen.) +(連音) +de (loc.) 彼の家で